FRBハーマック総裁が追加利下げに慎重姿勢を示し、市場では12月利下げ見送り観測が強まりました。

NVIDIAは好決算を発表したものの急騰後に反落。AI相場の過熱感と利下げ後退が利益確定売りを誘いました。

日本の新政権は21兆円規模の大型経済対策を準備。財政拡大を受け円安が進行し、海外勢の注視が強まっています。

米雇用統計（9月分）が予想超えの雇用増を示し、Fedの早期利下げ期待は後退。米株・BTCとも軟調な展開となりました。

2025年11月21日 過去24時間の市場動向と経済ニュース

市場の動向（過去24時間）

米国株式市場は大幅下落し、S&P500は前日比-1.56%の6,538.76（終値）となりましたmarkets.ft.com。テクノロジー株主導のナスダック総合も-2.15%安の22,078.05で取引を終え、ダウ工業株平均も軟調でした。一方、米10年債利回りは4.1060%まで低下し（-0.65%）markets.ft.com、一時4.10%台に落ち着きました。アジアでは日経平均が+2.65%と反発markets.ft.comしたほか、ハンセン指数はわずかに上昇しました。仮想通貨市場ではビットコインが90,000ドルを割り込み、約87,000ドル前後まで下落して7ヶ月ぶりの安値圏に沈みましたreuters.com。このように株安・債券安（金利低下）・ビットコイン安が同時に進行し、リスク回避ムードが強まっています。

FRBハーマック総裁、追加利下げに警戒感

連銀総裁のベス・ハーマック氏は20日の講演で、依然2%超で推移するインフレを背景に「現状で安易に利下げすればインフレ長期化や金融市場の過度なリスクテイクを助長しかねない」と警告したreuters.com。現在の金利水準はすでに緩やかで、これ以上緩和すれば景気後退時に政策余地が失われるリスクがあると指摘したreuters.com。実際、10月FOMC議事録では利下げ派と慎重派が分かれていることが鮮明となっており、市場では12月会合で利下げが見送られる公算が高まっているreuters.com。また、同日に別会合で話した連銀理事のリサ・クック氏も、企業のバランスシートで資産バブルが生じるリスクに言及し、過熱した資産価格が急落する可能性を警戒しているreuters.comreuters.com。

Nvidia好決算でも株価は反落基調

半導体大手Nvidiaは20日、AI向け半導体需要の追い風もあり第3四半期の売上高・利益が市場予想を上回る好決算を発表したreuters.com。第4四半期の売上見通しも高水準であったため同社株は一時急騰し、市場では世界的なAI投資ブームへの期待が高まりました。しかし、その後S&P500とナスダック指数はともに反落に転じたreuters.com。背景には、遅延発表された9月の米雇用統計が大幅な雇用増を示し、12月の利下げ期待が後退したことや、テック株への集中懸念があるとみられます。投資家はNvidia好決算を歓迎しつつも、「AIバブル」的な過熱への警戒を強めており、急騰後の利益確定売りが出やすい状況となっていますreuters.comreuters.com。

日本、新政権下で大型経済対策策定へ

日本では新政権が物価高対策として巨額の財政出動を準備していることが明らかになりました。報道によれば、歳出総額は約21.3兆円（約1,350億ドル）に上り、コロナ禍以降では過去最大規模となる見込みですreuters.com。この財政対策には子育て家庭への一時金支給やガソリン税減税などが盛り込まれ、税収増と新規国債発行で財源を確保する計画です。一方、市場では膨大な財政支出と緩和政策継続への警戒から円売りが加速しており、米ドル/円は155円台前半へ上昇しましたreuters.com。同じく日本国債利回りも上昇基調にあるため、世界的な金利上昇・円安の波紋も広がっています。

米9月雇用者数予想上回る—Fed年内利下げ観測後退

米労働省が発表した9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+11.9万人と、事前予想（約+5万人）を大きく上回る結果となりましたreuters.com。同時に失業率は4.4%に上昇し、雇用増が限定的であった一方、労働市場にやや緩みが見え始めていることも示唆されました。なお、このデータは政府閉鎖で遅延していたもので、10月分は12月に発表される予定です。市場ではこの結果を受けて、当面の利下げ期待はさらに抑制される見方が強まっています（直近では12月政策会合で現状維持が見込まれている）。reuters.com