• 中東リスク再燃 — 米国が対イラン限定攻撃を検討。安全資産買いとインフレ懸念が綱引きし、10年債利回りは4.39％で横ばい、原油は小幅高。
• 欧州に緩和ドミノの兆し — 英中銀は据え置きも利下げ票が増加。スイス・ノルウェーがサプライズ利下げで「緩和転換」観測が広がる。
• 米中、関税枠組みで合意 — 中国は20日のLPRを据え置く見通し。景気懸念は残るものの、サプライチェーン銘柄には追い風。
• ステーブルコイン規制法案、上院通過 — 下院審議へ。規制明確化期待で暗号資産に安心感、ビットコインは104,000ドル前後で小動き。

2025年6月20日 過去24時間の市場動向と経済ニュース

米10年債利回り・ビットコイン価格の過去24時間動向

• 米10年債利回り: 米国市場は6月19日が祝日（ジューンティーンス）で取引参加者が少ない中、米連邦準備制度理事会（FRB）の政策金利据え置き決定（引き締めスタンス継続）の影響も織り込みつつ、中東情勢の緊迫化による安全資産買いとインフレ懸念が交錯しました。その結果、米10年債利回りは方向感に欠け、一日を通してほぼ横ばい推移となりました。終値は約4.39%と前日比ほぼ変わらずで取引を終えていますswissinfo.ch。
• ビットコイン価格: ビットコインは過去24時間、103,600ドル〜105,500ドル前後の狭いレンジで推移し、現時点の価格（約104,278ドル）と比べてわずかに下落しましたbusiness-standard.com。主要取引所ベースの値動きでは、24時間で0.5%弱の下落となり、おおむね10万ドル台前半を維持していますbusiness-standard.comswissinfo.ch。前日までの上昇で一時は11万ドル近辺の過去最高値水準に迫りましたが、その後は調整局面にありますlatestly.com。米FRBの金利据え置き（想定内の結果）や中東リスクによる市場の警戒感から上値が重くなる一方、米国でのビットコイン上場投資信託（ETF）への資金流入が続くなど需給面の下支えもあり、価格は大幅な崩れもなく安定した推移となりましたnairametrics.com。

市場に影響を与えた主要ニュース

米国、イランへの軍事行動を検討か – 中東情勢緊迫で原油高懸念

ホワイトハウスの報道官は、イスラエルとイランの武力衝突が拡大する中で**「米国（トランプ政権）が今後2週間以内にイスラエルへの軍事支援（対イラン攻撃）実施の是非を判断する」と表明しましたswissinfo.ch。実際、米政府高官らは「数日中にも対イラン先制打撃の可能性に備えている」**と報じられ、市場は戦況拡大による先行き不透明感からリスク回避姿勢を強めていますswissinfo.ch。イスラエル軍は19日までにイランの核関連施設への攻撃を拡大し、「攻撃はイラン政権を崩壊させうる」と警告するなど事態は深刻化していますswissinfo.ch。専門家は、仮に米国が軍事介入すれば原油価格が急騰しうる（極端な場合1バレル＝130～150ドルとの試算もありswissinfo.ch）ため、インフレ再燃による金融政策への影響にも警戒が必要だと指摘しています。

英中銀が利下げ据え置き決定 – 利下げ票増加で緩和転換観測も

19日、イングランド銀行（英国中央銀行）は政策金利を現行の4.25%で据え置くことを決定しましたswissinfo.ch。据え置き自体は市場予想通りでしたが、予想以上に多くの委員が利下げ票を投じたことが明らかになり、将来的な金融緩和転換への思惑が高まりましたswissinfo.ch。発表直後、英ポンドは一時下落しましたがその後下落分をほぼ回復しています。またヨーロッパでは同日、スイス国立銀行（中央銀行）が通貨高抑制を図るため政策金利を0%に引き下げる決定を行い、ノルウェー中央銀行も新型コロナ後初となる利下げに踏み切りましたswissinfo.ch。これら一連の動きは、欧州各国でインフレ沈静化や景気下支えを狙った金融緩和姿勢が強まっている可能性を示唆しています。

米中が関税巡り枠組み合意 – 中国、追加金融緩和を見送りへ

米国と中国が貿易摩擦緩和に向け関税率に関する包括的な枠組み合意に達し、世界第1・第2位の経済大国間でビジネス環境を改善する期待が高まりましたreuters.com。これを背景に中国政府は直近の経済刺激効果を見極めるため追加の金融緩和に慎重な姿勢を示しています。実際、中国人民銀行は5月に約半年ぶりの利下げを実施し流動性供給を行いましたが、今回の米中合意により6月20日の貸出基準金利（ローンプライムレート）定例改定では据え置きが有力と見られていますreuters.com。一方で中国経済指標には製造業の減速や物価下落圧力が散見され、専門家からは「景気下支えには米中協調による貿易改善が最優先で、年内追加の利下げ余地も残る」との指摘も出ていますreuters.com。

米安定コイン規制法案、上院可決から下院審議へ – トランプ政権が早期成立を後押し

米上院は6月18日、ドル連動型暗号資産であるステーブルコイン（安定コイン）に初の包括的な規制枠組みを敷く法案（通称「GENIUS法」）を賛成68・反対30の超党派多数で可決しましたreuters.com。この法案は「ステーブルコインは十分な流動資産で裏付けること」「発行体に毎月の準備資産内訳開示を義務付けること」などが柱で、暗号資産業界にとって画期的な前進と位置付けられていますreuters.com。今後は共和党が多数を占める下院での可決が必要で、成立すれば大統領（トランプ氏）の署名を経て法制化される見通しですreuters.com。トランプ政権は選挙公約として暗号資産の推進を掲げており、ホワイトハウスの担当者は「8月までの法案成立」を目標に掲げ下院での速やかな可決を促していますreuters.com。業界では規制整備が進むことで投資家保護と市場発展の両立に期待する声が上がる一方、野党民主党の一部からは「大統領のビジネス利害関係への懸念やマネロン対策の不備」を指摘する声もあり、下院審議の行方に注目が集まっています。