ウォーレンバフェット氏は引退ですが、運営方針そのものは基本的に変わらず手堅い戦略を続けることになるでしょう。
2025年3月末時点において、バークシャー・ハサウェイの総資産は約1兆1,645億ドルに達しており、前年同期と比べて約8.8%増加しております。この成長は、短期米国債への積極的な投資と、国際的な分散戦略によるものです。
特に注目すべきは、短期国債の保有状況です。バークシャーは約3,050億ドル相当の短期米国債を保有しており、これは同市場の約5%に相当する規模です。とにかく今は現金に近い資産を積み上げており、株式市場の下落リスクに備えており、今の株価は高すぎると判断しているということです。
短期国債は現在、年利約4.36%と比較的高利回りで、安全性と流動性を兼ね備えた資産として評価されています。バフェット氏は、この短期債中心の投資を「守りの資産配置」として位置づけ、株式市場の高ボラティリティに備えた運用として説明しています。
一方で、株式投資の比率は調整が進んでいます。テック偏重の米国株への依存を軽減するため、バフェット氏は近年、日本の総合商社5社(三菱商事・三井物産・住友商事・伊藤忠商事・丸紅)への投資を強化しています。
これらの企業は高配当かつバリュエーションが割安であり、配当利回りは3〜4%台と安定したリターンをもたらしています。
そしてバークシャーは商社株を購入する上で日本円で超低金利で借入を行っており、配当利回りだけで利息は払えた上で、円安になることで米国ドルベースで見れば資産価値が上昇し、株価の上昇でさらに価値が上昇するという好循環が生まれています。まさにこのあたりの投資手法が投資の神様と言われる所以だと思います。
バークシャー・ハサウェイの2025年第1四半期末(3月31日)時点における保有米国株式の上位10社とその評価額は以下のとおりです。
順位 企業名(ティッカー) 保有株数(推定) 評価額(推定)ポートフォリオ比率(推定)
1 Apple Inc.(AAPL) 300,000,000株 約666億ドル 約25.8%
2 American Express Co.(AXP) 151,610,700株 約407億ドル 約15.8%
3 The Coca-Cola Company(KO) 400,000,000株 約286億ドル 約11.1%
4 Bank of America Corp.(BAC) 631,573,531株 約264億ドル 約10.2%
5 Chevron Corp.(CVX) 118,610,534株 約198億ドル 約7.7%
6 Occidental Petroleum Corp.(OXY) 264,941,431株 約131億ドル 約5.1%
7 Moody's Corp.(MCO) 24,669,778株 約115億ドル 約4.4%
8 Kraft Heinz Co.(KHC) 325,634,818株 約99億ドル 約3.8%
9 Chubb Ltd.(CB) 27,033,784株 約82億ドル 約3.2%
10 Verisign Inc.(VRSN) 13,289,880株 約34億ドル 約1.3%
これらの上位10銘柄で、バークシャーの株式ポートフォリオの約88%を占めており、特にApple、American Express、Coca-Cola、Bank of America、Chevronの5社で約70%を構成しています。資産規模が大きいですからどうしても銘柄は集中するわけです。
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