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【 米中関係再悪化 米国株も注意!! 】

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いよいよ市場は6月入りしましたが、米中関係は再悪化しています。金融市場はさらにボラティリティの高い状況に入っていますのでポジション保有のバランスが重要になります。


中国外務省は、アジア安全保障会議「シャングリラ対話」でのヘグセス米国防長官による台湾などに関する発言に対し、「強い不満」を表明しました。


2025年5月の米国株式市場は、関税問題への懸念が一時的に後退したことや、米中間の貿易合意により比較的安定した動きを見せておりました。しかしながら、6月に入り、状況は一変する可能性が高まっております。特に米中貿易関係の悪化とインフレ再燃への懸念が、株式市場全体の重荷となりつつあります。


まず、米中の通商関係についてですが、5月初旬にスイス・ジュネーブで開催された米中協議において、両国は追加関税を115%引き下げることで合意いたしました。ところが、5月30日になり、トランプ前大統領は中国がこの合意に「完全に違反した」と非難いたしました。主な争点は、電動モーターに不可欠なレアアース磁石の輸出再開が履行されていない点であり、米国側はこれを深刻な約束違反と受け止めております。加えて、トランプ氏は中国企業への輸出規制を強化し、留学生ビザの取り消し措置にも踏み切っております。


これに対して中国側は、米国による輸出管理措置を「差別的で国際通商ルールに反するもの」と非難し、即時の是正を求める姿勢を強めております。このように、再び米中関係は緊張状態へと逆戻りしており、市場参加者の間では先行きへの警戒感が広がっております。


次に、物流面の動きについてですが、香港の調査会社ライナーリティカの報告によりますと、中国から米国へのコンテナ貨物のブッキングは、今後3週間で前年比30〜60%減少する可能性があるとの見通しが示されております。特に、5月の貿易合意による一時的な輸送急増の反動として、6月には米国側の港湾混雑や空コンテナ不足が顕在化する懸念もあります。これにより、供給網への影響が拡大する可能性が出てきております。


また、米国内の経済環境に目を向けますと、インフレへの懸念が再び高まりつつあります。4月のPCE(個人消費支出)物価指数は前年同月比で2.1%の上昇となり、やや落ち着きを見せたものの、住宅価格の高止まりや関税によるコスト転嫁が懸念されております。ゴールドマン・サックスは、関税によるインフレ圧力は一時的であるとしつつも、年末にはコアPCEインフレ率が3.6%に達する可能性があると警告を発しております。


こうした経済指標や国際関係の変化を受け、5月末の株式市場は不安定な動きを示しました。5月30日にはS&P500種株価指数が一時1.2%下落し、市場は米中関係の緊張やインフレ再加速のリスクを意識した調整局面に入っているように見受けられます。


今後の注目点としては、米中首脳間の外交交渉がどのように進展するか、また米国のFRB(連邦準備制度)が物価上昇を抑制するためにどのような金融政策を採用するかが、市場の方向性を大きく左右することになると考えられます。


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