米国の住宅市場は現在、2009年の金融危機以来の深刻な低迷に直面しています。この点も今後相当注意してみていく必要があります。
リーマンショック前とは状況は少し違いますが、高金利が続く今の状況では支払い不能からの不良債権が急増するリスクがあります。そして住宅関連、建築、不動産カテゴリー株は特に注意です。
📉 中古住宅販売の急減と在庫の増加:2025年4月の中古住宅販売件数は、年率換算で約402万戸となり、2009年以来の最低水準を記録しました。これは、前月比5.9%の減少であり、住宅ローン金利の高止まりや価格の上昇、経済的不確実性が主な要因とされています。
一方で、販売用住宅の在庫は前年同月比で約21%増加し、145万戸に達しました。これは2020年4月以来の高水準であり、供給過剰の兆候が見られます。
👴 購入者の高齢化と若年層の参入困難:全米不動産業者協会(NAR)の2024年の報告によると、住宅購入者の中央値年齢は56歳であり、2007年の39歳から大幅に上昇しています。これは、住宅価格とローン金利の上昇により、若年層や初めての購入者が市場から排除され、既存の住宅資産を持つ中高年層が主な購入者となっていることを示しています。
📉 地域別の価格下落と市場の調整:全米の27州で住宅価格の下落が報告されており、特にテキサス州やフロリダ州などの高成長地域で顕著です。建設業者は価格引き下げやインセンティブを提供しており、機関投資家もリスクの高い市場から撤退しています。これらの動きは、全国的な市場調整の兆候と見られています。
🏢 雇用不安と住宅需要の冷え込み:製造業や小売業を中心に、雇用の減少や労働時間の短縮が報告されています。例えば、ニューヨーク州の製造業では、雇用指数が-6.4となり、労働時間指数も-5.8と低下しています。これにより、消費者の購買意欲が減退し、住宅需要のさらなる冷え込みが懸念されています。
⚠️ 信用収縮と価格下落の悪循環の懸念:経済の不確実性と雇用不安が重なる中、住宅市場は信用収縮と価格下落の悪循環に陥る可能性があります。特に、住宅ローンの返済が困難になる世帯が増加すれば、差し押さえや強制売却が増え、価格のさらなる下落を招く恐れがあります。ただし、現在のところ、多くの住宅所有者は高い自己資本比率を維持しており、2008年のような大規模な危機には至っていません。
30年固定住宅ローン金利の推移(2020年~2025年)
2020年:新型コロナウイルスの影響で、連邦準備制度(FRB)が金利を引き下げ、住宅ローン金利も低下。
2021年:1月に史上最低の平均金利2.65%を記録。
2022年:インフレ対策としてFRBが利上げを開始。
2023年:10月に一時8%を超える水準に達し、年間平均は約7.00%となる。
2024年:FRBが3回の利下げを実施するも、金利は高止まりし、年間平均は約6.72%。
2025年:5月22日時点での平均金利は6.86%。
30年固定金利で年利6.86%の条件で30万ドルを借りた場合、月々の返済額:約 $1,967.78で、30年間の総支払額:約 $708,401となります。つまり、利息だけで約 $408,401 を支払う計算になります。
日本では考えられない高い金利ですが、さすがにアメリカ人の多くもこの金利負担には躊躇してしまいますね。
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