財政危機

【  アメリカが享受する「法外な特権(Exorbitant Privilege)」とは 】

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第二次世界大戦後、ブレトンウッズ体制の下で、米ドルが基軸通貨(世界の共通通貨)として採用されました。現在もその地位は続いており、世界中の国々や企業、投資家が 貯蓄・投資・国際取引 にドルを用いています。


▼ 「法外な特権」とは? このドル基軸体制により、アメリカが享受する特権は以下のようなものです。これは今のアメリカの財政問題の根幹ともつながる部分ですので理解を深めましょう。


特権内容 詳細説明


① 安価な対外借入が可能 世界がドルを必要とするため、米国債は高い需要があり、金利は低くて済む。つまり、借金しても低コスト。


② 通貨発行益(シニョリッジ) 他国がドルを欲しがるため、紙を印刷するだけで物や資源が買える。これは国家にとって極めて有利な仕組み。


③ 貿易赤字が許容される 通常、貿易赤字は通貨安を招くが、ドルの需要は常にあるため、アメリカは長期間にわたり貿易赤字を続けられる。


④ 経済制裁という武器の保有 国際決済の多くがドル建てであるため、ドル圏からの排除(SWIFT制裁など)で他国に強い圧力をかけられる。


◆ シニョリッジ(Seigniorage)とは?


▼ 定義:シニョリッジとは、政府(中央銀行)が通貨を発行することによって得られる経済的利益のことです。


▼ 簡単に言えば:1ドル札を印刷するコストが5セントでも、それを使って1ドル分のモノやサービスを入手できれば、残りの95セントが「利益(シニョリッジ)」になります。


◆ 通貨の仕組みと国家の収益構造


▼ ステップ 内容 アメリカが得る利益


① 政府が国債を発行 政府は資金調達のために国債を発行する 他国(日本や中国など)が大量に購入


② FRBがドルを発行 FRB(中央銀行)が国債を担保にドルを発行する 実質的にはコストゼロで通貨発行


③ 市場や外国に流通 発行されたドルは市場や外国に出回る 外国がドルを保有し続ける限り、実物と交換されずアメリカの利益に


④ シニョリッジが発生 ドルを印刷するだけで物や労働力を得る 巨大な「不労所得」的構造


◆ なぜ世界はドルを使い続けるのか?


米国債が安全資産とみなされる


世界最大の経済圏・金融市場がある


原油など主要資源がドル建てで取引されている(ペトロダラー体制)


◆ 通貨発行益とインフレの関係


アメリカは無限にシニョリッジを得られるわけではありません。過剰にドルを発行すれば、以下のリスクがあります。


ドル安(通貨価値の低下)、インフレ加速(国内外で物価上昇)、基軸通貨の信認喪失 → 「ドル離れ」が進む


今はアメリカに対しての世界各国の信頼がどんどん失われてきており、ドル離れも実際に進んでいます。円の価値も下落していますが、ドルの価値も下落しており、紙幣からの継続逃避が重要です。


レイダリオ氏も最近しきりに警告を発していますし、JPモルガンのダイモンCEOも同様です。とにかく米10年国債金利に常に注視しましょう。


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