2025年6月時点の中国経済は、減速傾向が一段と強まっていて、とくに不動産市場と個人消費の弱さが目立っています。
まず、消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.1%下落しており、物価は下がり続けています。これはデフレ傾向が強まっていることを示していて、個人の買い控えや企業の値上げの難しさが背景にあります。また、新規の人民元建て融資も伸び悩んでいて、企業や個人の資金需要が冷え込んでいる様子が見てとれます。
やはり日本の不動産バブル崩壊後の状況と被り、デフレの長期化は避けられないでしょうね。
小売売上高は前年同月比で5.1%増とプラスではありますが、前月の5.9%や市場予想の5.5%を下回っており、消費の勢いは鈍いままです。コロナ前と比べても、消費の持ち直しは限定的です。
不動産市場では、4月の70都市の新築住宅価格指数を見ると、45都市で前月比マイナスとなり、前月より4都市増えています。中古住宅では64都市で価格が下落しており、こちらは前月から8都市増加しました。不動産投資も1〜4月累計で前年同期比10.3%減となり、1〜3月の9.9%減より悪化しています。不動産デベロッパーの資金調達も前年同期比4.1%減で、これも1〜3月の3.7%減からさらに悪化しました。
一部のデータでは、5月の新築住宅価格が100都市平均で前月比0.30%上昇し、4月の0.14%から伸びています。ただし、中古住宅価格は前月比0.71%減、前年同月比で7.24%減と、依然として厳しい状況です。
不動産大手では、恒大集団(エバーグランデ)が米国で破産法15条の適用を申請しており、碧桂園(カントリーガーデン)も大規模な債務再編を進めています。こうした企業の信用不安が市場全体の不信感につながっていて、不動産関連の資金調達や販売活動にも影響を及ぼしています。
政府はローン金利の引き下げや地方政府による未販売住宅の購入といった支援策を打ち出していますが、地方都市を中心に効果は限定的です。過剰供給、信用不安、需要の鈍さといった根本的な問題が解消されない限り、市場の立て直しは難しいでしょう。
さらに、米国による対中関税の引き上げが追い打ちをかけており、輸出や企業投資にも悪影響が出ています。固定資産投資や鉱工業生産も伸び悩み、回復の勢いに欠けています。
ムーディーズは中国の2025年のGDP成長率予測を3.8%に引き下げており、政府が掲げる5.0%成長の目標達成には黄色信号が灯っています。
こうした状況を見る限り、不動産を中心とした構造問題と外部リスク、そして個人消費の弱さが重なり、中国経済は明確な回復の兆しを見せるにはもう少し時間がかかりそうです。政府の政策対応も打ち手は出ているものの、今のところ決定打にはなっていない印象です。
アメリカとの貿易戦争のやりとりはレアアースを抑えている分だけ中国に強みがありますが、国家としての貿易戦争に傷を負いながら勝利をしても国民はこのあと長期間真綿で首を絞められるような苦しみがつづくでしょうね。
金持ちの海外移住は更に進むでしょうから、日本のあちこちがチャイナタウン化が進みそうです。
中国の不動産投資は20年以上前に上海といくつかの街で行っていましたが、当然全て10年以上前に売却は終わっています。非常に美味しい思いをさせてもらいましたが、同じことは少なくともあと20年は来ないでしょう。
政府が地方の空のグイチョン(鬼城)を全て買い取って潰すとか思い切った策を行えば別ですが。
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