トランプ関税は不透明なままの状態で、共和党の予算案は今後10年で大幅な財政赤字を発生させます。
利払い費用はどんどん膨らむ中で、トランプ政権の目論む減税や財政拡大など無理があります。イギリスのトラスショックを思い起こさせますね。アメリカの債務上限も夏には向かえることになります。時期が近くなると金融市場はこの点を注視し始めますので要注意です。
米国の債務上限とは? アメリカ政府が発行できる国債の総額の上限を法律で定めたもので、これを超えると政府は新たな借金ができなくなります。 財政の歯止めとして機能しますが、実際には政治闘争の道具として使われることが多いです。
🔵 2025年の状況(仮定的進行)
① 2025年1月:債務上限に達する 財務省は上限に達したことを公式に発表。新たな借り入れができなくなり、「異例の措置(extraordinary measures)」を開始。これは、年金基金への拠出の一時停止や特定の政府口座の資金運用方法の変更など。財政的には数千億ドル分の支払い猶予を創出するが、一時的な措置。
② 2025年5月~6月:歳入と歳出の不均衡が顕著に 税収が春の確定申告期で一時的に増えた後、再び減少。異例の措置の持続可能期間が短縮。
③ 2025年8月:資金枯渇の「Xデー」が近づく 財務省の推定で、「Xデー」=資金が尽きる日が2025年8月に設定される可能性。
Xデーを過ぎると、政府は社会保障費や軍人給与の支払いができない。国債利払いを履行できない(=デフォルト)。金利が急騰、金融市場が混乱
🔵 「異例の措置」の具体例
以下は財務省がこれまで実施してきた代表的な措置です。
措置名 内容 効果額(概算)公務員退職信託基金(CSRDF)への投資停止、連邦職員向け年金基金への拠出を一時停止 約1,000億ドル以上
為替安定基金(ESF)の利用制限 財務省が持つ外国為替資産の運用を制限 数百億ドル規模
Gファンド償還の停止 政府職員向け投資口座からの償還を一時停止 数百億ドル
その他特定勘定の資金移動 小規模な会計調整による流動性確保 数十億ドル
※ これらの措置はすべて法律で認められており、債務上限が引き上げられた後には元に戻す義務があります。
🔴 なぜ政治問題化するのか? 債務上限の引き上げは議会(上下両院)の承認が必要。通常、野党は財政支出抑制のカードとして交渉材料に使う。引き上げが遅れると、米国債の信認が損なわれ、金融市場が混乱。
例:2011年にはS&Pが米国債の格付けを初めて「AAA」→「AA+」に引き下げ
🔮 今後のシナリオ(例)シナリオ 内容 市場への影響
引き上げ合意(基本)Xデー前に合意、問題回避 市場は安堵、金利は安定
一時的な延長 数か月ごとのつなぎ法案 繰り返し不安定
合意失敗 → Xデー到来 一部支払い停止、信用不安 債券・株式市場暴落、金利急騰
もし2025年夏に再び債務上限協議がもつれた場合、短期T-Billの利回り急騰。株価調整(特に金融・防衛・インフラ関連)。VIX上昇、円高進行。リスクオフ資産(米長期債・金)への資金流入。特にXデー直前の短期国債償還に関するヘッジや回避行動が市場のゆがみとして出ることが予想されます。
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