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【 AppleのAI戦略(Apple Intelligence)の強さと弱さ 】

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Appleは他のビックテックと比較してAI戦略に関しては出遅れていると考えています。昨日の世界開発者会議(WWDC)で主要な人工知能(AI)関連の発表がほとんどなかったことが嫌気され株価は下落しました。


新しいiPhoneでの多言語の即時翻訳機能については便利なので期待はしていますが。


今のところの一番の勝ち組は実際の利益につながっているマイクロソフトです。


AppleがこのままずるずるとAIでの遅れを取り戻せないと、iPhoneを含めた囲い込みが崩れていく可能性があります。そしてそうなれば当然今の高い株価も維持できません。


各社AIの進化は本当に早いので中国のAIを含めて進捗状況を見る必要がありますね。


1. AppleがAIで「出遅れている」とされる理由


(1)基盤モデル(LLM)の開発・公開の遅れ:Google(Gemini)、OpenAI(GPT)、Meta(LLaMA)、Microsoft(Copilot)といった企業は、いずれも早い段階から大規模言語モデル(LLM)を開発・公開し、他社に向けたAPIの提供も積極的に行っています。一方で、Appleはこれまで独自モデルの存在すら明かしておらず、オープン化の流れから大きく遅れている印象を与えていました。


(2)クラウドAI戦略の欠如:他社が生成AIをクラウドベースで展開し、業務アプリ(例:Google WorkspaceやMicrosoft 365)に統合しているのに対し、Appleはオンデバイス処理を重視し、クラウド型AIサービスの展開が非常に限定的でした。


(3)生成AI機能の展開が控えめ:ユーザー体験においても、GoogleのBard(現Gemini)やMicrosoftのCopilotのような生成AI体験が日常的になっている一方、AppleのSiriは依然として制限が多く、高度な会話や自動処理の分野で他社に劣っているとの評価がされています。


2. Apple独自のAI戦略とその強み


(1)プライバシー重視のオンデバイスAI:Appleは「Apple Intelligence」において、AIをクラウドではなくiPhoneやMacなどの端末内で処理する「オンデバイスAI」を重視しています。この戦略により、個人情報が外部に送信されず、プライバシーとセキュリティを非常に高いレベルで保護できるという特徴があります。


(2)Apple SiliconとNeural Engineの活用:Apple独自のMシリーズチップには強力なAI処理専用の「Neural Engine」が搭載されており、画像認識、音声処理、翻訳、テキスト要約といった処理を高速かつ低消費電力で実現できます。これは、MacやiPadでもリアルタイムなAI体験が可能になるという大きな利点です。


(3)OSレベルでのAI統合:macOSやiOSの新バージョンでは、メールの自動要約、スケジュールの提案、画像の自動補正、自然な音声での通話記録の要約など、システム全体にわたるAIの統合が進んでいます。これはAppleならではのシームレスなユーザー体験を生み出しており、他社との違いを際立たせています。


3. 外部開発者へのLLM提供と今後の方向性


Appleは今回、初めて自社のAI技術を外部開発者に公開する方針を明らかにしました。これは、Appleが生成AI市場でより存在感を発揮するための第一歩といえます。ただし、現時点ではモデルの性能やスケーラビリティについて不透明な部分が多く、OpenAIやGoogleのようなAI研究体制にはまだ差があると考えられています。


4. 今後の展望:AppleはAI市場で巻き返せるのか?


Appleはこれまでの「静かなAI」から脱却しつつあり、「Apple Intelligence」という新たなブランドのもとで、他社とは異なる路線を打ち出しています。プライバシーを守りながら、日常生活に自然にAIを溶け込ませる設計は、Apple製品の強みを活かした戦略です。


一方で、クラウドAI、AI API市場、AI研究の公開性という点では、依然としてGoogleやMicrosoftとの差は大きく、これらをどう埋めていくのかが今後のカギとなります。


結論:Appleは確かにAI基盤技術の開示やクラウド戦略では後れを取っている側面がありますが、「オンデバイス処理」「UXとの融合」「プライバシー重視」といった独自の強みを武器に、別の方向から市場での地位を築こうとしています。今後の数年間で、どれほど柔軟に他社と連携し、開発をオープンにしていけるかが、AppleのAI戦略成功の鍵を握るでしょう。


世界株に投資をしていればAppleは外せない銘柄ですし、このまま手をこまねいていることはないでしょう。サムアルトマンとジョナサンアイブのコンビで作るAIデバイス端末との大々的な提携というのはありそうに思っています。


これが発表されれば、そしてその時Apple株が低迷していれば、大きなチャンスになりそうに思っています。

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