社会問題

【 アメリカ 住宅購入が困難な時代 】

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現在の米国住宅市場では、過去のリーマンショック(2008年)時を超える深刻な「住宅購入困難の時代」が進行しています。


1. 住宅ローン負担率は歴史的高水準 全米住宅建設業者協会(NAHB)やレッドフィンの調査によると、住宅ローン負担率は45~50%に達しており、2006~2007年のピーク(約35~38%)を大きく上回っています。通常「30%を超えると過剰負担」とされる水準であり、家計に強い圧迫を与えます。


2. 三重苦の構造:「高インフレ・高金利・住宅価格の高止まり」


① 金利上昇 2024~2025年のモーゲージ金利(30年固定)は6.8~7.5%。これは2020年の2.5%台から約3倍に上昇。

② 住宅価格の高止まり パンデミック期の住宅ブームで価格が高騰し、その後も需要が強く、2020年比で+40~50%高い水準を維持。

③ インフレの持続 2021~2023年の高インフレが実質所得を圧迫。2024年もコアCPIは3~4%台と高止まり。 これにより、「買いたくても買えない」家庭が激増しています。


3. 消費者の住宅購入マインドは史上最悪 ミシガン大学の住宅購入指数(Buying Conditions for Houses)は2024年~2025年にかけて過去最低レベルを記録。「今は買うべきではない」と答えた世帯が8割を超える。


4. 買い手不在→市場の硬直化と「不流動性の罠」 住宅保有者はパンデミック前の超低金利ローン(2~3%)に固定されており、売りたがらない。新規の住宅供給も、建築コスト高と買い手不在で停滞。市場は「取引が起きない」「価格が動かない」「需要も供給も出てこない」という三重硬直に陥っている。


5. 将来のリスク:消費減退と資産デフレ 住宅購入が困難だと、他の耐久財(車、家具)などの支出も抑制。「住宅は最大の資産」なので、住宅価格の伸びが止まると、資産効果(wealth effect)も薄れ、消費意欲が低下。


資産バブルの調整圧力 2020~2022年にかけて急騰した住宅価格は、高金利下で需給の崩壊を起こす可能性がある。リセッションが発生した場合、失業や所得減により差し押さえ物件(foreclosure)の急増→価格暴落リスク。


現在は信用崩壊ではなく「経済構造的な価格と金利のミスマッチによる圧迫」であり、持続性と拡散性の点でより深刻ともいえます。現在の米国住宅市場は、住宅価格・金利・所得のバランスが完全に崩れており、リーマン時以上の「構造的な買えなさ」が顕在化しています。


これが中長期での消費低迷・資産価格調整・景気後退リスクを高めており、政策も有効打に欠けるため、ソフトランディングよりハードな調整のリスクを意識せざるを得ません。


アメリカの商業不動産も大都市を中心に下落はおさまっておらず、高金利継続の中でデフォルト率は上昇しています。そして一般住宅ローンのデフォルト急増からの銀行の不良債権増加、地銀の破綻。このシナリオは常に最新の状況を把握しておく必要がありますね。


少しリーマンショックのような大きな経済ショックに備える必要もあるように見えます。日米債券市場の混乱と重なると大きな金融ショックになります。何にどのタイミングで逃すか?これがポイントです。流石にBTCも一度そのタイミングでは急落するでしょうから。

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