ウクライナ戦争以降、多くの国家が外貨準備の中で「金(ゴールド)」の重要性を再認識し、中央銀行による金の備蓄を急速に進めています。この背景には、地政学的リスクの高まりや、米ドル資産への信頼低下、そして制裁リスクへの備えが関係しています。
2022年から2024年までの3年間、世界の中央銀行は毎年1,000トン以上の金を純増させており、これは1950年以降で最も多い水準となっています。特に2023年には、1,037トンの金が各国の中銀により買い増されています。
主な購入国としては、中国、ロシア、インド、カタール、ポーランド、シンガポールなどがあり、中国人民銀行は2022年末以降、16か月連続で金の保有を増やしており、現在の保有量は2,300トンを超えています。ロシアは、早い段階から金の保有比率を高めてきており、制裁回避の観点からも重視されています。
ポーランド国立銀行は2025年4月に12トンの金を追加購入し、保有量は509トンとなりました。これは欧州中央銀行(ECB)の金保有量507トンを上回っており、通貨の信頼性向上を目的とした政策の一環とされています。
このような動きの根底には、米ドル建て資産の凍結リスクが影響しています。ロシアが保有していた外貨準備が西側諸国により凍結されたことを受け、多くの国が「制裁を受けにくい資産」として金を評価し直しています。
また、新興国を中心に進んでいるのが「デ・ドル化」の動きです。米ドル一極依存からの脱却を図る中で、金というグローバルに受け入れられている資産への転換が進んでいます。
金価格も上昇を続けており、2025年6月時点で1トロイオンスあたり3,300ドルを超える高水準となっています。価格の上昇は、各国の金購入をさらに加速させる要因にもなっています。
今後も、中央銀行による金の積み増しは継続すると見られています。特に新興国においては、外貨準備の多様化とリスク分散の観点から、金の保有比率をさらに高める動きが続くと考えられます。
通貨別の動向と背景)
① 米ドル(USD):依然として主要な準備通貨であり、全体の57.8%を占めています。これは、米国の金融市場の流動性と安全性が評価されているためです。
② ユーロ(EUR):構成比は19.8%で、前四半期から若干の減少が見られました。これは、ユーロ圏の経済成長の鈍化や政治的不確実性が影響している可能性があります。
③ 日本円(JPY):5.8%の構成比で、安定した推移を示しています。日本の経済規模と金融市場の安定性が評価されています。
④ 英ポンド(GBP):4.7%の構成比で、若干の減少が見られました。これは、英国の経済成長の鈍化やブレグジット後の不確実性が影響している可能性があります。
⑤ 中国人民元(CNY):2.2%の構成比で、前四半期から変化はありません。人民元の国際化が進む中でも、依然として構成比は低い水準にとどまっています。
その他の通貨:9.7%を占めており、カナダドル、オーストラリアドル、スイスフランなどが含まれます。これらの通貨は、分散投資の一環として保有されています。
世界中の国が負債を積み上げ過ぎています。紙幣への信頼はますますなくなり、金、銀、BTCの価格は継続上昇するでしょうね。
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