財政危機

【 財政危機が表面化している今だからこそ、国債入札の流れを理解する 】

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個人とは無縁のものではありますが、5月以降、超長期国債の買い手不在振りは明確ですし、国債の入札手順がどうなっているのか?これは投資家であれば理解をしておくべきです。


日本における国債の入札は、以下の手順で行われます。


① 財務省による発行条件の設定:まず財務省が国債の発行条件を設定します。ここでは、発行予定額、償還期限、利率(クーポン)などの詳細が決定され、入札を行うための基本的な条件が整えられます。この情報は入札当日の午前10時30分に公式に発表されます。


② 入札参加者による応札:設定された条件に基づき、入札に参加する金融機関(銀行、証券会社、保険会社など)が応札を行います。各参加者は、希望する数量と利回り、または価格を提示し、財務省に提出します。特に「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」として指定された19の主要金融機関は、すべての入札に応札する義務を負っています。


③ 入札方式による落札者の決定:提出された応札をもとに、あらかじめ定められた方式に従って落札者が決定されます。主に以下の2つの方式があります。


コンベンショナル方式(複数価格方式):応札価格の高い順に国債が配分され、落札者は自分の提示した価格で国債を購入します。ダッチ方式(単一価格方式):利回りの低い順に国債が配分され、すべての落札者は一律に最高落札利回りで国債を取得します。


④ 入札結果の公表:入札日の午後0時35分に、財務省は入札結果を公表します。公表される主な指標には、応札倍率、平均落札価格・利回り、最低落札価格・最高落札利回り、テールなどが含まれます。これにより、市場の需要動向や金利の動きが明らかになります。


⑤ 国債の発行と通過:入札が完了した翌営業日に、落札された国債が正式に発行されます。発行された国債は投資家によって満期まで保有されることもあれば、流通市場で売買されることもあります。一部の国債は取引所にも上場されており、証券会社などを通じて広く取引されます。


日銀が国債を大量保有しているわけですが、金融機関が入札して落札しても、今までであれば日銀に転売し利鞘を抜けましたから、安心して金融機関は国債を買えました。


しかし今は日銀が国債の買い入れ量自体を減らしているわけで、金融機関もリスクを恐れ、長期の国債を買いづらい状況にあります。保有長期国債で巨額な含み損が発生していますから。


とにかく常に注目すべきなのは国債の金利動向と、長期国債の入札状況です。これが悪化した時はポジションを軽くすべきですし、必要であれば全てのポジションを閉じる選択肢もあります。いつこの危機が起こってもおかしくない状況に今はあると見るべきです。



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