
サマーズ元財務長官は「貿易赤字を憎みつつ、資本流入を歓迎するという矛盾について、政権がきちんと認識しているとは思えない」と語っています。
単純に計算上、米国の貿易赤字は外国からの資本流入を減らさずには解消できません。経済理論では、貿易赤字は資本収支の黒字によって相殺されるとされます。
米財務省のデータによると、昨年の外国からの対米証券投資は約1兆1000億ドル(約160兆4400億円)の純流入となっており、これは年間の財の貿易赤字(約1兆2000億ドル)にほぼ匹敵します。
ということで、国際収支の構造を理解するところからまず始めてみましょう。
少し長文で経済学を学んでいないと理解しにくい部分があるかもしれませんが、この内容を理解しおさえておくことは投資効率を上げるためには非常に大切な内容です。
◆ 国際収支の基本的な構造
国際収支(Balance of Payments)は以下の二つの大きな勘定から成り立っています。
経常収支(Current Account)
財・サービスの輸出入(貿易収支)
所得収支(投資収益や労働者送金)
経常移転収支(政府開発援助など)
資本・金融収支(Capital and Financial Account)
資本移転(特許の購入など)
金融取引(外国人による米国株購入、米国企業による海外投資など)
◆ 恒等式(国際収支恒等式)
経済理論では、以下の恒等式が成り立ちます。
経常収支 + 資本・金融収支 ± 誤差脱漏 = 0
つまり ” 経常赤字(貿易赤字など) = 資本・金融収支の黒字 ” ということです。
◆ アメリカの実例:なぜ貿易赤字が続いても成り立つのか?
1. アメリカは慢性的な貿易赤字国
たとえば、アメリカは2023年も数千億ドル規模の貿易赤字を記録しています。これは米国が海外からの輸入に対して、輸出が少ないことを意味します。
2. では、赤字分はどう補填されているか?
答えは資本・金融収支の黒字です。つまり、外国から大量の投資(お金の流入)を受けているのです。
具体的な形:
① 外国人がアメリカ国債を購入(=アメリカにお金を貸す)
② 外国企業がアメリカの株式や不動産に投資
③ 海外政府(特に中国や日本)が米ドルを外貨準備として保有
これにより、アメリカには海外から「お金(資本)」が大量に流入しています。つまり、アメリカは「商品を買いすぎて貿易赤字」だが、それと同時に「その代金として外国からの投資を受け取っている」わけです。
◆ 理論の本質:お金とモノのバランス
アメリカはモノ(商品)を輸入して、ドルを渡す
外国はドルを受け取り、そのドルでアメリカに投資する(資本流入)
つまり、「貿易赤字=ドルの流出」→「そのドルがアメリカに投資されて戻ってくる」、という構図です。
◆ 注意点・リスク
この仕組みは持続可能とは限りません。以下のようなリスクがあります。
外国がドル資産の保有を減らしたくなると、資本流入が減る(=ドル安圧力)
貿易赤字と資本流入のバランスが崩れると、通貨危機のような現象が起きる可能性もある。
昨年後半より、多くの知識人、専門家がアメリカの財政危機に対して注意を喚起する発言をしています。
トランプ政権では貿易赤字を減らすために高い関税をかけています。90日間の猶予はありますが、10%の相互関税他、中国の高い関税を含め既に関税はかけられています。
高い関税により経済が落ち込み、株価が下がったとしても、アメリカ債券が買われ金利が下がればそれでよしとベッセント財務長官は判断したわけですが、4月には米国株が下がったタイミングで米国債も下がるというリーマンショックでもなかったことがおきました。
アメリカの財政危機は間違いなく訪れています。(日本はもっとひどいですが)
米国債売りも激しくなると、FRBが国債の買い支えという手段にならざるを得なくなる可能性も高く、そうなると過剰流動性バブルが膨らむことになりますので、市場は反転します。
ロシアへの制裁、中国へのいじめのような関税を考えるると、リスク回避のための各国の米国離れは恒常的に進むと考えた方が良いでしょう。そして結果的に金、銀、BTCは買われることになるわけです。
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