2025年現在、AIチャットボット、特にOpenAIの「ChatGPT」は世界中で急速に浸透しており、その利用者数と利用頻度は、もはや検索エンジンやSNSと並ぶ社会インフラの一部となりつつあります。
OpenAIによると、2025年5月時点でChatGPTの週次アクティブユーザー数は8億人に達し、日次では約1.2億人が利用しているとされています。これは世界人口の約10%にあたる規模であり、しかもこの数字は急拡大の途中段階にすぎません。
さらに、1人あたりの1日の利用回数はおおよそ1〜数回とされ、ChatGPTへの問い合わせは世界全体で1日あたり10億件以上と推定されています。このような規模のトラフィックは、かつてのインターネット黎明期におけるGoogle検索の成長速度を思わせる勢いです。
また、他の主要AIツールも急速に追随しています。Googleの「Gemini(旧Bard)」は月間2.2億アクセスを記録し、Baiduの「Ernie Bot」も中国市場を中心に3億人規模のユーザーを獲得しています。MetaもAIチャットボットの展開により中東地域などで7億人以上の利用者を抱えるに至りました。
これらのAIツールは、教育、医療、業務支援、創作、法務など多様な分野に用途が広がっており、単なる検索やエンタメの域を超えた「準プラットフォーム」としての機能を持ち始めています。
📈 過去から現在までの成長カーブ
ChatGPTが公開されたのは2022年11月ですが、その成長速度はテクノロジー業界でも異例でした。2023年初頭には月間1億ユーザーを突破し、わずか1年半でその利用者は8倍近くにまで拡大しました。SNSやスマートフォンの普及よりも速いペースです。
この背景には、以下の要素が大きく影響しています
① インターフェースが直感的で、検索やアプリ開発と異なりコーディング知識不要
② 生成AIのブームと多言語対応の強化
③ 企業による業務活用の加速(チャットボット、会議要約、顧客対応等)
④ 学校・教育機関での活用(宿題サポート、作文添削など)
⑤ これらは短期的トレンドではなく、むしろ「言語とのインターフェース」がOSレベルで統合される未来を予感させる現象です。
🔮 2030年までの成長予測 このまま年率20〜25%の成長率でユーザー数が拡大した場合、2030年には20億人以上が利用するようになると考えられます。4人に1人が日常的に生成AIを使っている社会が訪れることになります。
ただし、以下の要素によってこの数値はさらに上振れする可能性があります:
① 音声AIの急速な普及(スマートスピーカーやAR端末との統合)
② 企業・行政による業務システムへの標準実装
③ 開発途上国へのスマートフォン/5Gの普及加速
④ AIの自然言語理解と自律対話能力の進化
特に、インドや東南アジア、アフリカ諸国でのスマートフォン経由のAI利用は、2030年にかけて急拡大する見通しです。
そしてAIの普及による電力需要とエネルギー価格の上昇リスクも考える必要があります。
現在、AIの普及は想像を超えるスピードで世界中に拡大しており、驚異的な普及に伴い、背後で進行しているのが「電力需要の爆発的増大」です。AIは技術革命であると同時に、巨大な電力消費産業を新たに生み出しています。
この状況は今後も継続的に急速に拡大すると考えられ、エネルギー価格(原油、ガス、ウラン)の高騰に繋がっていくと考えていくべきです。そしてこの視点自体が投資に活かせることになります。
1.AI普及と電力消費の現状
2025年時点で、OpenAIのChatGPTは世界中で日次アクティブユーザーが1.2億人、週次では8億人規模の利用者を抱えています。さらに、GoogleのGemini、MetaのAIチャットボット、BaiduのErnie Botなど各国のAIサービスが急速に普及し、総利用者数は20億人に迫っています。
これらのAI利用の中心にあるのは「生成AI」「大規模言語モデル(LLM)」であり、その最大の特徴は膨大な電力を必要とする点です。AIは常に計算を続ける必要があるため、検索やSNSのように「使った分だけ消費する」のではなく、「常時高出力で稼働し続ける」インフラ型の電力消費モデルを作り出しています。
国際エネルギー機関(IEA)の試算では、2022年時点で世界のデータセンターが消費する電力量は約460TWhでしたが、これがAI普及によって2030年には1,000TWh超に達する可能性があると予測されています。特にAI用途(学習・推論)に限定しても、2025年の90TWhが、2030年には250〜400TWhに急増するとの見方も出ています。
2.AIが生み出す「新しい産業用電力需要」
このAIによる電力需要は、従来の製造業や交通インフラによる産業電力需要とは性質が異なります。AIデータセンターは昼夜を問わず365日稼働し続けるため、負荷のピーク時間が存在せず、常に高負荷のまま電力を消費し続ける構造となっています。これにより、各国の電力系統(送電網)への恒常的な負荷が生まれ、従来の電力供給計画が大きく狂い始めています。
たとえば、アメリカのバージニア州北部では、AIデータセンター建設が集中している影響で、既存の送電網が対応しきれず、新たな高圧送電網の建設が急務となっています。カナダ、欧州、シンガポール、日本の一部都市でも同様の事例が増えており、AI電力が新たな社会インフラ負荷の震源地となりつつあります。
3.電力価格高騰の構造リスク
AIの普及が今後電力価格を押し上げると考えられる理由は以下の通りです。
(1)供給逼迫の長期化:電力需要は急激に伸びる一方、発電所の建設や送電網の整備には数年〜10年単位の長期間を要します。供給の遅れが続く中で、電力市場は恒常的に需給がタイトになり、価格上昇圧力が高まります。
(2)再エネの不安定性と限界:AIデータセンターは24時間稼働するため、太陽光や風力のような変動型電源だけでは賄えず、安定的なベースロード電源(原発・ガス火力など)が不可欠になります。再エネ100%移行が難航すれば、火力発電依存が残存し、燃料価格の影響を直接受けるリスクが続きます。
(3)膨大なインフラ投資コスト:AI対応の新型電力インフラ(発電所・高圧送電網・水冷設備等)の建設には、今後数十兆円規模の投資が必要とされます。これらのコストは最終的に電気料金に上乗せされ、消費者や企業が負担する形になります。
(4)原料・資源コスト高騰:AI電力需要の急拡大は、天然ガス、ウラン(原発燃料)、銅(送電ケーブル部材)、リチウム・ニッケル(蓄電池)などの資源需要を急増させ、世界の資源価格を押し上げる要因になります。
(5)環境規制・炭素税の影響:脱炭素政策の強化に伴い、炭素税や排出枠取引コストが上昇する見通しです。電力コストには今後、環境コストという形で新たな上昇要素が重なるでしょう。
4.中長期の電力価格見通し
今後の電力価格は、以下のような推移を辿る可能性があります。
2025年頃まで 緩やかな上昇基調。AIやEVの新需要にインフラ側がまだ追いついている状態。
2026〜2028年 本格的な逼迫局面に突入。新設データセンターラッシュと送電網整備遅延により、局地的に電力高騰が頻発する可能性がある。
2029〜2030年以降 AI電力バブルと呼べるほどの高騰圧力も。供給不足と原料高、規制コストが重なる「マルチインフレ構造」へ移行する懸念。
5.金融市場への波及
AI電力需要の拡大は、電力価格だけでなく金融市場全体にも大きな影響を与えます。
恩恵を受けるセクター
電力会社(公益株):NextEra Energy、Constellation Energyなど
電力インフラ建設(送電網):Quanta Services
データセンターREIT:Equinixなど
資源・コモディティ株:銅、ウラン、リチウム関連銘柄
圧迫される可能性のあるセクター
電力コスト増が利益圧迫となる電力集約型製造業・一部のハイテク企業
インフレ圧力による金融政策の引き締めリスク
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