財政危機

【 自国通貨建債務でもデフォルトする!! 】

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「自国通貨建て国債はデフォルトしない」という考え方は、現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)における基本的な主張の一つです。


この理論では、国家が自国通貨を発行できる限り、財政赤字や国債の返済に問題は生じず、したがってデフォルトの懸念もないとされます。しかし、この前提は現実の歴史に照らすと、必ずしも常に成立するわけではありません。


実際には、過去50年間において「自国通貨建て国債」であっても、債務不履行(デフォルト)や実質的な返済不能に陥った国は複数存在しています。


まず、1998年のロシアは、ルーブル建ての短期国債(GKO)の支払いを停止しました。当時のロシア経済は財政赤字が拡大し、ルーブルの急落と資本逃避によって通貨の信認が低下していました。結果として、たとえ自国通貨で発行された国債であっても、債務の履行が不可能となったのです。


アルゼンチンはさらに顕著な例です。1980年代後半から2000年代初頭にかけて、同国は複数回にわたってペソ建て国債の返済不能や再交渉を行いました。特に1989年と2001年の危機では、深刻なハイパーインフレと信用失墜によって、自国通貨による債務の持続が困難になりました。さらに2018年以降も、アルゼンチンは再び経済危機に直面し、国内債務の再編やデフォルトを繰り返しています。


ジンバブエでは2000年代にハイパーインフレが進行し、ジンバブエドル建ての国債は事実上無価値となりました。紙幣の増刷によって通貨の信頼が崩壊し、債務は名目上存在していても、実質的には返済不能の状態となりました。


トルコは1994年にリラ建ての短期国債で支払い困難に直面しました。当時、急激な利上げとインフレによって財政負担が急増し、金融市場は混乱しました。デフォルトの形式は取らなかったものの、実質的な返済リスクが表面化した重要な事例です。


また、ウクライナでは1998年と2015年に経済危機と通貨急落を背景に、フリヴニャ建て債務の返済が困難となり、再編や延期措置が取られました。


さらに、2008年のアイスランドでは金融危機が発生し、自国通貨クローナへの信認が急速に失われました。国内銀行の債務が国家規模を超えるほど膨張していたことから、クローナ建ての債務であっても危機的状況に陥りました。


同じく2008年のエクアドルでは、当時の自国通貨スクレによる債務が持続不可能となり、最終的に米ドルに通貨を切り替えました。この過程で、自国通貨建て債務の償還が実質的に行えなくなったため、形式的にはデフォルトではなくとも、債務放棄に近い状況となりました。


ベネズエラも深刻な例です。2010年代後半から2020年代にかけて、同国のボリバル建て国債はハイパーインフレによって事実上返済不能となり、国内債・外債問わずデフォルト状態が継続しています。


これらの事例が示すように、「自国通貨建てであれば絶対にデフォルトしない」というのは現実的ではありません。理論上は、自国通貨を発行できる限り、通貨建ての債務返済は可能です。


しかし、実際にはその通貨の信認、国内の政治経済状況、インフレ水準、金融制度の安定性といった複数の要因が複雑に絡み合い、結果として債務の履行が困難となるのです。


「自国通貨建てなら絶対に安全」というのは、通貨の信認と国家運営能力が高い国にのみ成立する条件付きの主張であり、世界の歴史においては多くの例外が存在してきました。MMTが提唱する理論的枠組みは、現実の国家財政や金融危機においては十分な安全保障とは言い切れないのが実情です。


日本の場合、国債の多くが日本国内で消化されている点では強みがありますが、28日の40年国債やその前の20年国債を見ても分かるように、超長期国債の買い手が不在状態です。


海外の買いに期待しても、彼らは長期で保有するわけでなく、短期での売買が主な目的ですから市場の安定にはつながりません。過去50年においても8カ国で11回の実質デフォルトがあったことを理解しておく必要がありますね。


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