
ドバイ不動産の今後を左右する分岐点は、地政学リスクの長期化と2026年の供給量の2点に集約されます。現時点では3つのシナリオが並存しています。
① 軟着陸(確率20%) は、紛争が数ヶ月以内に沈静化し供給が一部地区に限定されるケースです。賃貸利回りは5~9%と世界水準で競争力を維持しており、IMFが予測するUAEのGDP成長率+5%が需要を下支えすることで、価格は並行を保ちます。
② 部分調整(確率45%) は、紛争長期化と供給過剰が重なるケースです。2026年だけで12万戸が新規供給される見通しで、これは例年の約2倍です。FitchはすでにQ4~2026年にかけ最大15%の調整を予測しており、ミッドマーケットや周辺エリアでは▲10~15%の下落が現実的なシナリオとなります。
③ 大幅下落(確率35%) は、全面紛争・外国人大量退去・世界的な金融引き締め再燃が重なる最悪ケースです。UAE本土への攻撃が継続すれば「安全なハブ」というブランドイメージが根底から毀損され、▲20~30%超の本格調整も排除できません。2008年の世界金融危機時には50~60%暴落し回復に7年を要した前例があります。
UAE本土への直接攻撃は史上初であり、過去の紛争局面とは質的に異なります。現金購入比率が86%と高いため2008年型の連鎖崩壊には至りにくいですが、15~20%の調整は十分に起こり得る水準です。2023~24年に高値でオフプラン購入した投資家が多数存在することも、下落加速の火種となりえます。
過去5年間の構造的な上昇は本物でした。しかし今、地政学リスクと過去3年の2倍規模の供給という2つの重石が同時にのしかかっています。プライム物件・高利回りエリアは底堅さを維持する可能性がありますが、ミッドマーケットや周辺エリアのオフプラン物件は特に注意が必要です。
複数のアナリストが「次の6ヶ月で市場の方向性が決まる」と指摘する通り、2026年は正念場となります。
http://katsumoku.com/report/report_jp_dubai_real_estate_report_2026_03_07.pdf
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